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{イリーガル・レプリカ迎撃指令} アンダーグラウンドの夜。 小道や裏道を途方もなく歩く。 あれから神姫センターから出て、俺の腕時計が10の所に時針指し示した頃、溜息をつく。 「ご主人様、そんなに気を落とさないでください。まだ始まったばかりじゃないですか」 「そう言ってもなぁ…」 右肩に座り、フル装備したアンジェラスは俺の事を気付かってくれてるみたいだ。 心遣いは嬉しいのだが…正直、時間を無駄にしてるような気がしてどうしようもない。 それに元気が無い理由は他にもある…。 そして何故こんな無駄な事をしてるのかと言うと、時間をさかのぼること2時間と30分前。 ☆ 「諸君、我々のこの町にイリーガルの神姫が何体か出現した情報が入った。諸君も知ってるとうりに、これはイリーガル・レプリカ迎撃指令と酷似しているものである」 薄暗い神姫センターの受け付け近くにある電光掲示板にデカデカと書かれてあった。 スピカーも横についてるので音声も流れている。 誰の声だが知らないが大人の男の声だった。 オーナー達は全員、その電光掲示板を注意深く見ていたので、俺もヒョッコリと見てみた。 「敵の数は10万体以上、詳細不明、オーナーも詳細不明、たた明白な事はイリーガルの神姫達によって我々人間のオーナーと神姫が被害を受けている事。酷い被害の時は死人が出ている」 ヘェ~、この町で起きてるのか。 たまにしか来ないから情報が少ないだよなぁ。 でもこの町にもでたか。 イリーガル・レプリカ迎撃指令…。 2037年××月、所属不明の神姫による襲撃行為が頻発。 この事件はかなり深刻の問題になってきているらしい。 そこでこの事態を解決するべく、『MMS管理機構・日本支部兼アジア地域統括支部』は登録している全オーナーに迎撃を依頼した。 なんでも、ターゲットの正体がMMS管理機構に保管されていたイリーガルAIデータを、どこぞの馬鹿野郎がハッキングして盗んだらしい。 しかもタチが悪い事に、犯人はイリーガルAIデータを複製し、別素体に移植しちまったという。 ほんでもってこの始末だ。 全くもっていい迷惑だぜ。 「被害はかなりの額にもなっていて、死人の数も増える一方…この町では前代未聞の事件だ」 神姫を使った殺人かぁー。 あんまり聞いて良い気分にならない話だ。 「このままでは、こちら側がやらればかりである。そこで諸君達に検討したい。この事件を我々の手で解決しようではないか!イリーガル・レプリカ迎撃し、見事に犯人を倒す事が出来れば、それなりの報酬がMMS管理機構・日本支部兼アジア地域統括支部から献上さえてもらえるはずだ!!」 報酬と聞いて『ウオオオオォォォォ!!!!』と叫ぶアンダーグラウンドのオーナーの常連さん達。 償金稼ぎじゃあるまいし、やる気が減る。 結局は金で動く奴等か…。 「エントリーしたい者は受け付けで登録できる。では諸君、健闘を祈る!」 それっきり電光掲示板は電源が切れたかのようにプッツリと画面が真っ黒になり、再起動したのかいつも通りの武装神姫の情報を報せる電光掲示板に戻った。 他の周りに居たオーナー達は受け付けの所に行き、我先にさっきへと償金のために登録している。 俺はそんな欲にまみれた野郎共を見ながら迷っていた。 登録するべきか登録しないべきか…。 「お前はどー思う?」 「私ですか?…正直、分かりません。でも登録するもしないのも、ご主人様の意志で決める事なので私は何も言いません。私はご主人様の意志に従うまでです」 アンジェラスは淡々と言う。 神姫としてはある意味まともな返答だが、俺的には不愉快極まりない発言だった。 何故ならアンジェラスの言ってる事は人任せと同じ事を言ってるのだから。 もっと悪く言えば『私は貴方の命令をなんでもききます』とか『私の意志は貴方の物』とか『私は貴方の奴隷です』こうなる。 少し極端過ぎたかもしれないが、少なからず当て嵌まるはずだ。 折角、自分という『意志』とか『自我』を持っているのだ。 そんな俺の命令に従うだけの神姫なんて、神姫侵食に犯された神姫と同じじゃないか。 更に言うなら、人間の命令をきくそこら辺にある機械と同じ。 「ご主人様?」 「………」 「ご主…ヒィッ!?」 アンジェラスは俺が黙っていたので顔色を伺ったみたいだ。 そして俺の顔を見て恐怖を感じ驚いたのだろう。 多分、今の俺の表情は自分でもかなり恐い顔してるはず。 この際だからアンジェラスに一言だけ言ってやった。 「二度と『絶対服従、俺の意志に従う』みたいな事を言うな」 ドスが効いた声で言うとアンジェラスは俯きながら『…はい』と元気無く答えた。 そして俺は受け付けに行き償金稼ぎの登録した。 アンジェラスが二度とあんな言葉を口にしないで、と悲痛な思いながら…。 ★ そして今に致る。 今までのいきさつで俺が元気を無くしている理由が解ると思う。 全くもって面白くない話さぁ。 「?どうかしましたか、ご主人様??」 「…帰ろうか。調子が悪いし、敵はこなさそうだ」 「…そ、そうですね。なんかご主人様、気分悪そうですし」 「………」 俺は無言のまま愛車がとまっている駐車場に足を向けた。 ホントに、今日は憂鬱な…日だ…。
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『13km』-1/3 これから君に戦ってもらうのは、君のようにテンプレートに沿った改造をなされた神姫とはワケが違う。 七人が七人とも天下無双の変わり種だ。 いや、決して君の悲願達成の障害を強固にしようというわけではいよ、本当だ。 神である僕が神に誓ってもいい。 何故かって君、ありきたりな武装でありきたりな攻撃をしてくるありきたりな神姫なんて、いくら倒したところで何の御利益もないと思わないかい? つまり君の願望はそれほど、普通じゃないということさ。 恨むなら自分のそれを恨むんだね。 しかし相手が普通じゃないということはある意味、君にとって幸運と言えるのかもしれないぞ。 あくまで凡百レベルでしかない君が、例えばだが、全武装神姫の上位互換であるアラストールやキュクノス、それにジャスティスに勝てると思うかい? そう睨むなよ、君に限った話じゃない。 他の神姫だって、特別なものを持っていなければ単純な性能差で押し切られるさ。 多少の小細工など圧倒的なステータスの前には無力なものだから。 そこは君、様々な思惑を含んだ値札を付けられ、人に買われる身である神姫に生まれた以上、割り切るしかない。 ところが、だ。 僕がこれから提示する七人の神姫は、そんな万能と呼べる神姫から遠くかけ離れている。 一点特化、というやつだ。 ある方向に圧倒的な伸びを見せ、逆にその他はまるでからっきしというわけさ。 どうだい、僕の慈愛に溢れた優しさが分かっただろう、君は実に運がいいな。 ……分からない? まったく、神というものは理解されないのが常だが、優しく差し伸べた手すら気付いてもらえないとなると考えを改める必要があるな。 もし僕がアラストール型を七人倒せと言ったら君、いったいどうするつもりだ。 深く考えなくてもいい、どうすることもできないのだから。 装備を揃えたり経験を積むことくらいはできるかもしれないが、相手だって君と同じように時間を過ごすだろうし、君のマスターは貧乏だし、それに愛しの彼は君が強くなるのを待ってはくれない。 だからそう睨むなって。 もう一度言うが君は幸運なんだ、ラッキーだ。 なにせ相手は特化型だ、然るべき対策を打てば凡百である君にも勝利の可能性が見えてくる。 勿論、特化型の強さは並大抵のものじゃない。 ぶっちゃけノーマルのアラストールやキュクノス、ジャスティスなんて相手にならないだろう。 しかし付け入る隙がおおよそ見当たらない万能型より、隙だらけの特化型のほうが倒し易さという意味でなら、楽な相手だと思わないかい。 まあそれに、普通のバトルならその辺の神姫センターに行けば飽きるほど見られるのだから、僕を楽しませる意味でも君には特化型を相手して欲しいんだよ。 それもまた、願い事を叶えてくれる神様への供物、ってところさ。 さて、前置きはこれくらいにして。 記念すべき駈け出しの相手は、これもまた僕からのサービスなのだが、特化している部分が非常に分かりやすい。 呼び名が『13km』と言えば、どんな神姫か想像がつくだろう。 つかない? なに、あんなに有名な刀を君は知ら……ああそうか、あの漫画は三十年以上前のものだったか。 これはいきなり人選を誤ったか……。 いや、君は気にしなくていい、説明してやろう。 簡単に言うと、彼女はとてつもなく長いビームソードを持っている。 13kmというのはあくまで人間の大きさに換算したものだから、実際にはその1/12しか伸びないということになるが、それでもステージの端から端まで届いてなおかなりの余裕がある。 無駄? そんなわけがないだろう、13キロという数字にこそ意味があるんだ。 フン、元ネタを知らない君からすれば0.00005キロで十分とでも言うんだろうけどな。 まあいいさ。 あるマイナーな神姫チームの中で『第三デスク長』とも呼ばれている彼女と一度でも戦ってみれば、そのビームソードがどれだけ恐ろしいものか理解できるだろうさ。 いや、理解する時間すら与えてもらえないか。 せいぜい開幕と同時に胴体を真っ二つにされないよう気をつけることだね。 ◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆ 神姫にだってヒトのような心があるんだから、ヒトにヒトメボレしたって何もおかしいことはない。 何もおかしなところのない夢見る乙女だ、恋の一つや二つくらい許されて当然だと思う。 私の取扱説明書に「神姫が他の男性に一目惚れしないようご注意下さい」とは書いてないんだし、ルール違反でもない。 などなど……などなどなど。 他にもいろいろと言い訳を考えてはみたものの、やっぱり言い訳は言い訳でしかなくて、クレイドルの上で夢の世界に旅立つこともできず、枕を抱きしめて悶々とするばかりだった。 6日前のこと。 私――飛鳥型ストライクウィッチカスタムのホノカさんは、不覚にもとある男性に一目惚れしてしまった。 不覚も不覚、まったくの不覚。 それは本当に一瞬のことだった。 ◆――――◆ その日は神姫センターのエアコンから良い風でも吹いていたのか、妙に調子が良くて、見事三戦快勝、私の愛機セイブドマイスターは面白いように相手を撃墜していった。 いつもは勝っても負けても三戦したら必ず帰るのに、自分が戦ってるわけでもないのに調子に乗ったマスターは、もう一戦やる、とか言い出した。 まあ、私だって少しばかり気が大きくなっていた。 勝つ時は大勝ちして負ける時は大負けしてしまう私の性質上、できる時に勝利の美酒を貯めこんでおきたい気持ちもないでもなかった。 ちょっと強そうな相手を物色しつつ、ひとつの筐体の中をそれとなく覗いた時だった。 そのアルトレーネは私の目をきつく縫いつけた。 長い髪をポニーにした以外、装備も装飾もありきたりな戦乙女。 なのに、その戦騎は一際強く光り輝いていた。 「ぜやあああああああああっ!」 槍を構え、銃弾の嵐の中を怯まず押し通るその戦い方は、私とは真逆に位置する――そのはずなのに、気がつけば、彼女の動作を一つでも多く目に焼き付けようと、目を見開いていた。 白い頬を銃弾が掠め、ポリゴンとなって分解されていく。 それでも彼女は止まらなかった。 運悪く副腕の最も脆い可動部に銃弾が当たり破損し、片方が千切れ飛んだ。 それでも彼女は止まらなかった。 彼女のことだけを見ていたのに、対戦相手の表情が手に取るように分かった。 あるいはその表情は、彼女と相対した私を想像したものかもしれなかった。 自身が持つ火力では彼女の道を遮ることはできない――どうしようもない恐怖に表情を引きつらせたまま、彼女の槍に胸を貫かれた。 試合が終わって、彼女達を模していたモデルが消え去っても、まるで真夏の太陽を凝視してしまった時のように、視界に焼き付いた戦乙女の姿は消えなかった。 あの時の感覚は今でもハッキリと胸に残っている。 強いて言葉で言い表すとすれば、【心が燃えた】。 彼女と戦うことがバトルの全てのように思えた。 彼女を倒すことがバトルの全てのように思えた。 筐体から出てきた彼女に気づいて、実力差や勝算のことなんてまったく考えず、ただ本能に従って彼女に勝負を挑みに行った。 そして彼女のマスターに話をつけようとした時――CSCをズッキューン! と撃ち抜かれた。 一目惚れ、というより一撃必殺だった。 髪は短く、理知的な顔立ちに細長のメガネがよく似合っていた。 全体的に線は細めで、服装には清潔感があってとても好印象だった。 や、好印象という言葉はなんだかわざとらしいか。 一目惚れしたんだし。 むしろ超印象だ(?)。 その姿が私のマスター……若くしてハゲ散らかした豚の真逆だからかもしれないけど、まさか神姫に自分のオーナー以外に惚れてしまう機能があったとは、この時まで考えもしなかった。 (念のため言うけど、私はマスターに惚れてない。神に誓って言う) 燃えていた心がトクンと高鳴った。 真っ赤に染まっていた心がピンク色に塗りつぶされた。 そして気がつけば、胸にあの槍が突き刺さっていた。 今度は幻覚などではなく、実物が、ザックリと。 挑んだバトルはとっくの昔に始まっていて、ハッと目を覚ますと同時に終わっていた。 「あれほど無抵抗に私の槍を受けたのは、あなたが初めてだ」と後でハルヴァヤに呆れ顔で指摘された時は、恥ずかしくて死んでしまいたくなった。 帰り際、醜い豚もといマスターにせがんで、髪を長くしてもらった。 勿論ハルヴァヤと同じポニーテールにするためだけど、不本意ながらマスターに妙にウケた。 なにが「飛鳥に黒髪ロング……ゴクリ」だ。 ◆――――◆ 明日、日曜日。 ハルヴァヤにリベンジする約束をしているのだけど、それすらあの人に会うための口実になってしまうことが恐ろしかった。 恋に落ちたあの日以来、寝ても覚めてもあの人のことしか考えられなかった。 あと一度の夜を超えたら、あの人の前で戦わなきゃいけない……だというのに、まだセイブドマイスターのメンテにすら手がつけられないでいる。 いやいや今から整備しろよと自分にツッコミを入れたくなるけど、ここ最近の寝不足がたたって瞼は銀行のシャッターのように無情にも落ちていく。 そして目を閉じてしまうと、暗闇にあの人の姿が浮かび上がってきて、再び目を覚ましてしまう。 その繰り返しだった。 「ふう……」 ダメだ、何もできない。 こんなことじゃあの人だけでなくハルヴァヤにも愛想を尽かされてしまう。 あの二人に『戦う価値なしの雑魚』だなんて思われたら私は、もう生きていけない。 再び瞼の裏に現れたあの人が、私に背を向けて遠ざかっていく。 肩に腰掛けたハルヴァヤは私に冷たい一瞥をくれたまま、あの人の耳元に何かをささやいた。 時 間 の 無 駄 だ っ た な いやだ、行かないで。 強くなるから、なんでも差し出すから。 なんでもするから、私のことを見捨てないで。 お願い神様、あの二人を遠ざけないで――! 「呼んだかね」 「ひぎゃあ!?」 いきなり耳元で声を出されて、驚いた拍子に尻がすべり、クレイドルの手すりに側頭部をゴツンと強かにぶつけた。 できるはずもないタンコブを手で探しながら顔を上げると、隣にいつの間にか、白い体に私と同じくらい長い金髪の神姫が立っていた。 パッと見だと、その神姫がオールベルンだとは分からなかった。 フロントラインのホームページに掲載されている姿形そのままなのに、人をおちょくったような雰囲気は私が知る剣士型とはかけ離れていた。 くりっとした丸い目は整っているはずの顔のバランスを大きく損ない、薄気味悪く笑みを浮かべた口元からは八重歯なんてのぞいちゃっている。 「ハハッ! うん、いいねいいねその反応。近頃は誰も彼もが神を見ても驚かないから、いよいよ世間の凡俗が超常にまで侵略しつつあると危惧していたんだ。しかし君のその豆鉄砲をくった鳩のような顔――うん、気に入った。次は君の願い事を叶えてやるとしよう」 これが、神様を自称するオールベルンとの出会いだった。 「おいおい、ガッカリさせないでくれよ。神を信じたんじゃなかったのか」 大袈裟に額に手を当てたオールベルンは「オゥマイガッ」と仰け反った。 神様を自称する奴が OhMyGod なんて言うもんだろうか、いや言わない、絶対言わない。 「さっきはあんなに驚いてくれただろう」 「そりゃ、真夜中にいきなり側に誰か立ってたら驚くでしょ、普通は」 私も自称神様も声を落とす気遣いはしなかった。 ゴーゴー寝てる豚マスターはちょっとやそっとじゃ起きやしないから。 「じゃあアレか、君は特別叶えたい願い事がない、どころか神の存在を信じもしないで僕のことを呼んだって言うのかい」 「私が呼んだ? あんたを? いつよ」 「さっき『お願い神様』って言っただろう」 「言ってない。心の中で思ったけど、口には出してない」 「やれやれ、分かってないなぁ」と手を広げて首を振るコイツは多分、日本一ムカつくオールベルンだと思う。 眉を八の字にして小馬鹿にしたように溜息をつく姿は、電気が消えて薄暗い部屋の中でも無駄に強く自己主人張してくる。 「神っていう存在は、下々の心の奥底の願いを聞き届けてやるものなんだぜ。暇つぶしに」 「誰が下々よ。あんただって普通の神姫じゃない。鏡見たことないの? どこからどう見ても店の棚に陳列されたオールベルンと変わりないじゃない」 「この姿もわざわざ君に合わせてあげたのに。いや、武装神姫なら何でもよかったんだけど、このオールベルンは実に素晴らしい造形をしているじゃないか。まさにスワン・レイク! ワルツ・ワーズ・ワイト! って感じだと思わないかい。できれば赤い個体のほうが良かったんだけど、聞けばアレは限定品らしい。君の飛鳥型も品薄商法の煽りを受けて同型の仲間が増えないんだろう。自他共に認めるトップランナーであるフロントラインがこの体たらくじゃあ、武装神姫の将来は明るくないな」 「わざわざ真夜中に不法侵入しといて何? ネガキャン? もう帰ってよ、明日は忙し……ふぁ~あ」 ひとつ大きな欠伸が出た。 明日は絶対に、こんなはしたない真似をするわけにはいかない。 ましてや「全神姫の中で最もお人形さんのようだ」と言われる飛鳥型なんだから、そのイメージをよりにもよってあの人の前で崩していいわけがない。 「ほうほう、忙しいと。それはもしや、この僕を呼んだことと関係が?」 「だから呼んでなんて……そうよ、その通りよ、誰でもいいから何とかしてほしいわよ。明日はどうしてもちゃんと戦わないといけないの。早く寝ないといけないの。分かる?」 「その割にはこんな時間まで起きてたじゃないか」 「だから眠れないって言ってんでしょ!」 募ったイライラが、ついに爆発した。 枕を掴んで、オールベルンに投げつけた。 部屋の外に響くくらい叫んでしまったけど、マスターは寝返りをうっただけで起きる気配はない。 喉から溢れるように出てくる不安は止められなかった。 「明日のバトルは何よりも大切なの! 勝てなくても絶対ちゃんと戦わないといけないのに、あの人のことばっかり考えてたせいで眠れなくて、ハルヴァヤの期待にだって答えなくちゃいけないし、なのに銃の整備もストライカーの調整もやってない!」 「――ふむ」 「リベンジ申し込んどいて最悪のコンディションで挑むなんて、嫌ってくださいって言ってるようなもんじゃない! バカじゃないの!? 何やってるのよ私、こんな……こんなことならバトルの前に自動車に踏み潰されたほうがマシよ!」 「つまり、君は明日のバトルまでにコンディションをベストの状態にしたいんだな」 「だったら何よ! あんたがなんとかしてくれるっての!?」 「その通り!」 パン! と目の前で空気が弾けた。 自称神様が前髪に掠るような距離で手を叩いた――つまり猫騙しをしたんだけど、その音に対して驚いた直後、唐突に強烈な睡魔に襲われた。 魂を抜かれたように力が抜けて、カクンと膝が折れて身体が真っ直ぐ崩れ落ちた。 「僕は神の中でもサービス精神に溢れた性質でね。初回限定サービスだ、君の願いを無条件で叶えてやろう。いやはや君は実に運がいい」 自称神様が何か言ってるけど、最後のほうはほとんど聞こえていなかった。 文字通り電源を切られるようにプッツリと、私の意識は途切れた。 ◆――――◆ 仮想とはいえ確かな実感を持った身体に生まれ変わる瞬間の不思議な感覚は、もうマスターに起動されて随分時間が経つけれど、未だ慣れる様子がない。 ストライカーユニットの先端まで実体化されると同時にエンジンを起動させた。 プロペラが滑らかに滑り出し、着地寸前だった砂を巻き上げる。 ストライカーが地に降りる前にホバリングできたのは生まれて初めてだった。 それも不安定に空中でふらつくのではなく、ほとんど立っている時と同じように安定している。 脚に伝わる振動はいつもの半分もなくて、代わりにまるで翼を得たような高揚感を伝えてくれる。 空戦型が持つには二回りほど大きく長いライフル、セイブドマイスターのセイフティを解除してハンドルに手をかけると、驚くほどスムーズに引くことができた。 ガシャコッ、と初弾が装填される音もいつもより小気味良い。 おまけに体は睡眠不足による気だるさどころか、活力に満ち溢れていた。 指の一本一本から頭のピンと尖った耳の先、尻尾のフサフサの毛に至るまで回路が通っている感覚を明確に掴める。 自分が持つ本来の性能を、これほど明確に把握できたことはなかった。 「これが……私、なの?」 続々と新型の高性能な神姫が出てくる度に嫉妬していた自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。 ちゃんとコンディションを整えれば、私だって、これほどまで素晴らしい性能を発揮できる。 昨日眠っていた間に、あのオールベルンはいったい何を――。 「神姫三日会わざれば刮目して見よ、とはよく言ったものだ。先週とはまるで別人だ、一目見ただけで分かる」 砂嵐の向こう、ハルヴァヤの声は熱砂に焼かれてなお涼し気だった。 「いや失礼、その前に言及すべきかな――髪型、変えたのか。ええと……」 「私はホノカ。髪はあなたを真似したんだけど、気づいてもらえてよかった」 「真似を? どうして私なんか、これは邪魔にならないよう縛ってるだけだし、他にもっと洒落た神姫は沢山いるだろう」 「もしかしてハルヴァヤ、あなた野暮天?」 「……ははっ、昨日同じことを言われた。そんなつもりはないが、でも勘違いはされやすいな。私はあなたが想像するほど規則正しい性格をしていないんだ」 照れ隠しに笑うハルヴァヤはすごく可愛かった。 こうして対等に喋っていることが信じられなくて、自分が自分ではない別人のように思えてくる。 こんなにも気軽に言葉が出てくるのなら、自分の知らない自分になることも面白い。 ハルヴァヤも、私が勝手に持っていた堅物の印象より随分と気さくだ。 遠くから見ていた時は、刃のような鋭い眼差しと不屈の闘争心に見惚れるだけだった。 でも、こうして歩み寄ることで見えてくるものがある。 私の髪の変化に気づいてくれるハルヴァヤ。 照れ笑いをするハルヴァヤ。 もっと、引き出したい。 この神姫のありとあらゆる表情を引き出したい。 差し当たっては――。 「さあ、そろそろおしゃべりの時間は終わりだ。ホノカ、君はリベンジだと言ったな。悔いのない勝負にしよう」 敗北して悔しがるハルヴァヤはどんな表情を見せてくれるんだろう。 ゴーグルをかけ、私に向かって一直線に構えられた槍と揃えるように、スターのバレルを構えた。 距離は十分離れているはずなのに、ナイフを互いの喉元に突きつけ合っているような緊張感。 「隙あらば伐つ」と彼女の目はハッキリとそう言っている。 きっとこれが、私の遥か先にいる彼女のステージなんだ。 流行る気持ちがトリガーにかけた指を勝手に動かしそうになる。 アルトレーネの分厚い装甲でも、この弾丸は防ぎきれない。 でもそれだけじゃハルヴァヤには届かない。 だからセレクターレバーを切り替えた。 力がみなぎってくる今のコンディションなら、マスターがロマンが云々言いながら付属した、余計極まりなかったフルオートも活かせる。 スタートの合図が耳に届いた。 「「 いくぞ! 」」 重なった声を皮切りに、砂嵐はいっそう強くなった。 『13km』-2/3 トップへ
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hatugen戦闘回数が増えていくと追加されるキャラもいるので とりあえず、今戦える相手の装備を全部ひっぺがす位(5〜6回)の勢いで戦っていけば 特に問題なく戦える相手も増えていきます。 「1対1」 「1対2」または「1対3」 のハンデ戦 「1対1」初登場はゲームセンターで1回戦闘のみ。本編クリア後の継続プレイで常駐する 「1対1」メインストーリーにからむイベント戦1回のみ。 初期~ F3クラス制覇~ F2クラス制覇~ F1クラス制覇~ 初期~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 柴田勝シバタ マサル プルミエ アーンヴァルMk.2 おそらく多くのプレイヤーが最初に戦う相手。神姫名の「プルミエ」は「最初」を意味するフランス語「プルミエール」からだと思われる。戦国から江戸にかけて家名を残した「柴田氏」が「勝」の字を代々使っているまた格闘技にも「柴田勝久」「柴田勝頼」の親子がいるバトルロンドのNPCでも「まさる」「プルミエ」が登場 小早川千歳コバヤカワ チトセ リリス ストラーフMk.2 勝利後F3①予選解禁バトルロンドのNPCでも「ちとせ」「リリス」が登場 柿崎静馬 ナギ ハウリン 三毛屋ベンガルミケヤ ベンガル コモモ マオチャオ 「よーしよしよしよし」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第六部」のキャラクターグェスの台詞のパロディ 柏葉剣 ルーデル ゼルノグラード 第二次大戦時のドイツ空軍の爆撃王(兼エース)ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐及び彼が受賞した黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章から 山中美幸 ライラ アーンヴァルMk.2 赤橋瞳子アカハシ トウシ ハヤテ ハウリン 足利尊氏の妻 赤橋登子(あかはしとうし)? 津軽冬至 雪華 フブキ メールで対戦可 勝利後自宅でフブキ解禁 足利崇文 紅葉 マオチャオ 勝利後F3②予選解禁「兄様がまともに戻るまで、殴るのをやめないっ!!」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公、ジョナサン・ジョースターの台詞のパロディ室町幕府初代将軍 足利尊氏? シルバー・クレイ マリー アーンヴァルMk.2 「私達はようやく登り始めたばかりなのデース、この果てしなく遠い神姫坂を」漫画「男坂」のラストのパロディ 犬童太 ハナ ハウリン 軍曹 三等兵 ゼルノグラード 映画「フルメタル・ジャケット」に登場する鬼教官、ハートマン軍曹とその部下神姫名の元ネタは漫画「ロボット三等兵」から? 真紅女帝総長 沙耶香 アーク メールで対戦可難関その1 前作より攻撃的だが沙耶香以外は弱い装備が最も豪華なのが沙耶香近接攻撃中心なら亜里沙のバズーカが邪魔なのでこちらを先に勝利後ショップでアーク解禁「女帝」は英訳するなら正しくは「エンプレス」なのに真紅女帝(クリムゾンエンペラー)と呼ぶのは、コナミシューティングゲーム、エアフォースデルタの作戦名からアーク型曰く「珍走団」←徒党を組んで道路交通法違反を繰り返す集団のこと「203高地に挑む」中国にある丘陵で日露戦争の重要拠点 真紅女帝副長 亜里沙 アーク 真紅女帝見習い 香里奈 アーク ダリル・ブレナン ドロシー ハウリン 吉川素子 アローズ マオチャオ 猪苗代孝実イナワシロ タカミ ふゆなぎ ゼルノグラード 春夏冬 あきな アーンヴァルMk.2 「商い中」の古い(言葉遊び的な)表現「春夏冬中」から「春夏冬」→「あきない(秋無い)」→「あきな」 ダーリン あんこ アーンヴァルMk.2 ゲストキャラ(公式漫画ヒブソウシンキ)「ののこさんに~」ヒブソウシンキの登場人物。ちなみに、作中でのあんこは彼女の魔改造を怖がっておらず、寧ろかっこよがっていた。原作ではアーンヴァルだが諸事情によりMk2に。アーンヴァルMk2で対戦すると立ち絵が低く設定されていることがわかる。 青山遊馬 かさぎ エウクランテ 新渡戸総一 セイラ イーアネイラ セイラ「この軟弱者!」 機動戦士ガンダムのセイラ・マス F3クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 双蜂 ベル マオチャオ 双蜂=ツインビー ベル=ツインビーのパワーアップアイテム「当たらなければどうと言う事は~」機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル 南部蒼太 フレンダー フブキ タツノコのガッチャマン南部博士と、同じくタツノコキャシャーンのフレンダー「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」SLUM DUNKの安西先生 チョコレッタ・G アンネ アーク 武装神姫2036 アーク・イーダのデザイナーCHOCO氏から 犬養創 ヤマト ハウリン メールで対戦可難関その2 単体のLPは低く、ロック距離も短い神姫名は大日本帝国の大和型戦艦の名前。(大和・武蔵・信濃。ただし信濃のみ戦艦としてではなく空母として完成している) 犬養続 ムサシ ハウリン 犬養完 シナノ ハウリン 鍋島樹里 みおん マオチャオ 鍋島家の化け猫騒動 立花茂 銀千代 ハウリン 立花宗茂と妻・ギン千代「この風、この肌ざわりこそ神姫バトルよ」…アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター、ランバ・ラル大尉の台詞のパロディ。「うん、無駄無駄無駄無駄無駄じゃ」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、DIOの台詞のパロディ。「片眉剃って大笑いしたり」…空手バカ一代 豪徳寺みか まりぃ マオチャオ 「表の模様が裏に、裏の模様が表についてるコイン」…ジャイアンがのび太を騙した手口「縦縞のハンカチが横縞」…マギー司郎、審司の持ちネタのひとつ「頭の悪い怠け者~」ハン・フォン・ゼークトの言葉「バカには見えないメイド服」…裸の王様のパロディ ケンプ 黒姫 ゼルノグラード ケンプファー=ドイツ語で「戦士」からか「我が選択に、一片の悔いも~」…漫画「北斗の拳」のキャラクター、ラオウの台詞のパロディ 百武健心 百花 イーダ メールで対戦可勝利後ショップでイーダ解禁 給料シーフ シルファ アーク シーフ=泥棒 給料泥棒 真田有希那 キリカゼ イーダ 真田有希那→真田幸村から? キリカゼ→風魔の小次郎の霧風から? 練馬大将軍 ミュー アーンヴァルMk.2 練馬区光が丘に存在した「グラントハイツ(米空軍宿舎)」の由来グラント元大統領・元将軍。もしくは究極超人あ~るの成原博士。「世界征服は練馬から!」 偉吹玲人 まお マオチャオ ゲストキャラ(武装神姫2036) ハウリン・マオチャオのデザイナーBLADE氏から勝利後猫型カスタムパーツ解禁 神選組局長 コテツ ゼルノグラード メールで対戦可本人達の発言通り突撃しかしてこないので楽器RA等の餌新選組とその刀新選組局長 近藤勇:長曾祢虎徹<ながそね こてつ>新撰組副長 土方歳三:和泉守兼定<いずみのかみ かねさだ>新選組八番隊組長 藤堂平助:上総介兼重<かずさのすけ かねしげ> 神選組副長 イズミ ゼルノグラード 神選組隊士 カズサ ゼルノグラード 得川義文 葛葉 フブキ 「お風呂覗かれたり」…緑髪忍者型でコナミのゲーム「がんばれゴエモン」のヤエちゃん?「ござる の巻」「頬にうずまき」…忍者ハットリ君 痴豚 ミランダ イーダ タレント・伊集院光が、ラジオ番組「深夜の馬鹿力」内で照れ隠しも含めて自身の事を言う際に使う呼び方。 痴漢の『痴』に太った人を蔑む意味『豚』を合わせた造語。それを抜きにしてもSMプレイでも『豚』という蔑称はよく用いられる。ミランダはイーダのデザイナーCHOCO氏の描くSFコミック「イグナクロス零号駅」の主人公ミランダ駅長から?「恐ろしいものの片鱗を」…ジョジョの奇妙な冒険 嶋渓フミカ エイル アーンヴァル ゲストキャラ(武装神姫2036) アーンヴァル・ストラーフ等のデザイナー島田フミカネ氏から ドグラ・モゲラ 菊花 フブキ ドグラ・マグラからか?(会話内容からマスターの容姿が「戸惑う、面食らう」や「堂廻り、目眩み」となっており、原点がそういう意味という説から)またはモグラ⇒掘る(男に対して性的な意味で)⇒アッー!⇒菊の花 山中日向 葵 アーク 日向葵で「ひまわり」。山の中に咲くひまわり? タケル サギリ アルトレーネ メールで対戦可サギリの方が耐久が低い勝利後ショップでアルトレーネ・アルトアイネス解禁日本神話のヤマトタケルノミコト 日本神話の神:アメノサギリorクニノサギリ ミコト テルヒメ アルトアイネス 時速30km 和津香 ツガル 時速30km 時速30kmの速度の風が胸の感触と同じと言う逸話「胸がミサイルだったり~」マジンガーZのアフロダイA等 F2クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか ??? ??? アーンヴァルMk.2 勝っても負けても展開は変らないが勝つと称号が貰える 神宮司八郎 アトラ アーンヴァルMk.2 F2制覇後登場。探偵 神宮寺三郎 また、「アトラ」は穴を開ける道具の事なので、海底軍艦轟天号艦長神宮司 八郎 大佐今後発売予定の小説、武装神姫 LOST DAYSの主人公となった 森永穂波 アニー アーンヴァルMk.2 神宮司八郎戦闘後登場元女優の森永奈緒美さん。アニーは宇宙刑事シャイダーでの役名 神戸こなみ みなこ アルトアイネス F2制覇後登場。神戸のコナミそのまま。みなこはその逆さ読み「もっと恐ろしいものの片鱗を」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、ポルナレフの台詞のパロディ。48の拷問技…キン肉マン48の殺人技 笠嶋京香 あざみ ストラーフMk.2 赤城春菜 麗音 アルトレーネ 北関東最強、赤城→赤城山、春菜→榛名山、最強神姫理論→公道最速理論でいずれも漫画「頭文字D」のネタアルト「レーネ」→麗音 趙飛燕 夏姫 イーダ メールで対戦可睡蓮が多弾頭ミサイルとバズーカをリロードしながら乱射してくる前漢成帝の皇后。夏姫→巫臣(春秋時代の楚の政治家)のカミさん> 王秀英 睡蓮 アルトレーネ 周小紅 蘭蘭 ゼルノグラード 音黒野美子 クロミ フブキ クトゥルー神話に登場する架空の書物「ネクロノミコン」から。神姫名もネ「クロ」ノ「ミ」コン→クロミか?ちなみにバトル前の会話で唱えている怪しげな呪文も、クトゥルー神話に関わるものである。はしかのようなもの…はしかは日本人なら一生に一度はかかると言われる病気。転じて、恋の病や中二病など、誰もが経験するであろう事象を指すクトゥグア…同神話に登場する神 武本哲 チェリー ゼルノグラード 漫画「じゃりン子チエ」の「竹本テツ」「チエ」にひっかけて「チェリー」ティーガー…阪神タイガース 愛猫党党首 ターニャ マオチャオ 勝敗に関わらず趙飛燕と戦うと挑戦メールが来る二人が多弾頭ミサイルを装備。一人だけ装備して無いのでそれだけ後回しに 愛猫党参謀 アイニャ マオチャオ 愛猫党書記 ハルニャ マオチャオ 麻呂 雛鶴 イーダ 山県みちる 薫 アルトレーネ 「神姫イヤーは地獄耳」…デビルマン 兜茂 ユリコ アーク マスターは仮面ライダーストロンガーの城茂神姫名のユリコはストロンガーのパートナーの電波人間タックルこと岬ユリ子「天が呼ぶ 地が呼ぶ~(略)」は同作品でのストロンガーの名乗り口上 左籐楓 メープル フブキ 勝敗に関わらず愛猫党党首と戦うと挑戦メールが来るメープルが近接、アナベルがミサイル、マグノリアがガトリングを使う固められてコンボを決められると危険なので、アナベルかマグノリアを先に倒したいメープル:英語でカエデのこと。左籐楓(サトウカエデ)はメープルシロップの原材料アナベル:アジサイの品種。紫陽花(アジサイ)マグノリア:モクレンの品種。大山蓮華(オオヤマレンゲ)もモクレンの一種 紫陽 花 アナベル アーク 大山蓮華 マグノリア イーダ ういろー ナナ マオチャオ 名古屋名物、ういろうとナナちゃん 埴場怜太 クラリス アルトアイネス 羊たちの沈黙の登場人物。埴場怜太(ハンニバル・レクター)とクラリス・スターリングアフロディテから…ギリシャ神話のピュグマリオン 九頭龍 ルル アーク クトゥルー…クトゥルー神話に登場する神の名前、九頭龍はその表記の一つルルイエ…同神話に登場する架空の地名戦争末期で槍一本…太平洋戦争中の日本 陰陽熊 ファム アルトアイネス 閃光魔女 シャイナ ストラーフMk.2 プロレス技のシャイニング・ウィザードからか?男にしとけばよかったんじゃ…(ウィザードは主に男性の魔術師を指す) 美馬坂真尋 ドナ ストラーフMk.2 F1予選①~④クリア後に挑戦メールが来る。勝負するとヴァルハラが解放される。 開田有人 ライム マオチャオ 全F1予選クリア後に登場。元ネタは開田裕治氏と氏のホームページに掲載されている徳間文庫の官能小説アンソロジー「爛夢」から?「きれいな言葉遣いだろ?マオチャオ型なんだぜこいつ」ご存知某野球漫画の主人公のせりふ。 定岡千鶴 美礼 ジルリバーズ 橋田義一 エムアール エストリル MR=ミッドシップエンジン・リアドライブ方式??その他自動車用語としてのMRは数多く存在する 島津佳美 アイラ プロキシマ 島津義久or義弘から。鹿児島県姶良(あいら)市から コバヤシ マッハ ジルリバーズ 丹下鍛造 桜 プロキシマ 明日のジョーのコーチ丹下段平。神姫名は丹下繋がりで声優・歌手の丹下桜からか。 戸次香織 エリカ アーティル ステージ構成上開始時は分断されており、エリカは延々離れたところで浮遊機雷を撒き続けるのでまずユリカに速攻をしかけたい。合流されると強敵「火が二つ重なれば炎~」:中の人の組み合わせもあってトップをねらえただし姉妹逆 戸次詩織 ユリカ ラプティアス 倉田音羽 オルフェ アルトレーネ ゲストキャラ(武装神姫2036) 神姫名はスタジオオルフェから。マスターはデザイナーの羽音たらく氏のアナグラム。 F1クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 足寄百合香 美月 ベイビーラズ 文字通り、足に擦り寄る百合娘 ミュー・垂乳根 満姫 イーアネイラ 口調はルー大柴満姫がバズーカを撃ってかべこが近接バズーカに巻き込まれ吹っ飛ばされるかべこ… 平壁真垂 かべこ ガブリーヌ 小田春海 くらら マリーセレス 村ピープル ネヴィル マリーセレス 70年代のアメリカのバンド「ヴィレッジピープル」「筋肉隆々な色男がよりどりみどりの~」ヴィレッジピープルはメンバーがゲイだったと噂されてる 五進クリニック 梓 ツガル 誤診クリニック(本人達も語ってる) ニーヌ・マッケンジ フィオ エストリル 武装紳士・淑女御用達のエアパスタ。まだ未経験の方は是非お試しあれ。名前は新沼謙治とニール・マッケンジーからか。「げえっ(主人公名)!」横山光輝作『三国志演義』より。ジャーン!ジャーン!ジャーン! 薄田御幸 ミコ 蓮華 「幸薄」を入れ替えたもの「雑誌の裏」幸運の宝石の広告。エロ雑誌に多い 魔法使い 美紗緒 ベイビーラズ 三十歳まで童貞でいると魔法が使えるようになれるとの都市伝説。「美紗緒」操 漆黒の牙 レヴィア イーアネイラ 厨二病もしくは邪気眼。ご丁寧にイーアネイラの目がオッドアイになっている。エウクランテ曰く「ひょっとしてマスターもあんな事考えながらバトルしてない?」とのこと。みんなしてない、よね?アーク曰く「なんかさっきから胸が痛むし顔が熱くなってくる」アークさん… 五百旗頭かのみイオキベカノミ タマモ 蓮華 殺生石伝説の「玉藻前」「そんな事言われても、うち、ただの神姫やし」は、昔使われていたポン・デ・ライオンのAAの台詞「そんな事言われても、ウチ ポン・デ・ライオンやし」より。 九鬼マユ チロ ガブリーヌ 九州ライダー1号 ユリ エストリル 2体1だがチューブステージなので一度ロックさえしてしまえば常に陰に隠れてビット撃ってればノーダメージ余裕マスターは仮面ライダー1号 2号から。神姫の名前は初代仮面ライダーに登場したライダーガールズ・ユリとマリから。 九州ライダー2号 マリ ジルリバーズ 三鷹台六朗 レイナ 紗羅檀 「もっと静かで…」「いや焦るんじゃない」「ダブってしまった…」「焦るな焦るな」「あれが効いたな…」全て漫画「孤独のグルメ」より。同作品の主人公は井之頭五郎。(井の頭公園は三鷹市にまたがる。また京王井の頭線井の頭公園駅の渋谷方隣駅が三鷹台駅。) ピュンマ・ハマハマ ナディア エウクランテ 映画「ミラクル・ワールド・ブッシュマン」?あるいはふしぎの海のナディアのハマハマとナディアかも 環稜香 シレーナ エウクランテ ゲストキャラ(武装神姫2036) デザイナーの間垣リョウタ氏のアナグラム。 TSUGARU 赫 ツガル ゲストキャラ(武装神姫2036) 漫画では青のリペイントカラーのツガル型も所持していた。
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PCが重たくなってログアウトしたらログイン出来ずOrz皆様は無事にログインできてますか;x;? - 管理人 2010-01-17 15 08 38 RMTの宣伝がされていたので削除とIPをブロックしました。 - 管理人 2010-01-19 11 28 39 現在ガイア鯖はログインオンラインになってますOrzはいれません;x; - 管理人 2010-01-19 19 37 38 本日もログインオンラインですね…w - 管理人 2010-01-24 12 37 07 RMTの宣伝がされていたので削除とIPをブロックしました。 - 管理人 2010-02-02 14 45 52
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2.目覚めは猫の鳴き声で 「どれどれ……えーっと、これがCSCってやつかな? ずいぶん小さいな……」 家に着いた僕は、早速神姫のセットアップを始めた。 箱から出てきたのは全長15センチくらいの人形だ。 細かい造形までよく出来ていて、今にも動き出しそうだ……って、それは当たり前か。実際に動くんだし。 米粒よりも小さなCSC――正式名称をコアセットアップチップという――をピンセットでつまみ、素体と呼ばれるボディ部分の胸元にある、小さな三つの穴に埋め込んでいく。 このCSCを埋め込むことで神姫は起動するのだが、その組み合わせによって神姫の基礎人格や得意分野、嗜好などが方向付けられるという。 CSCの種類自体いくつもあって、それぞれに特徴があるらしいのだが、僕の手元には若山さんから譲ってもらったCSCがちょうど三つあるだけなので、選択の余地はない。 とはいえ同じCSCの組み合わせでも神姫の種類によってはその性格の現れ方が異なるらしいし、最終的に最も強く影響するのは起動後の生活なのだとか。 「どんな性格でもきっと可愛いと思うようになるから、あんまり気にしなくてもいいよ~」 というのが、若山さんが僕に語った結論だった。 その言葉に従い、あまり細かいことは考えずに作業を進めていく。 考えることといえば、この神姫は一体どんな性格で目覚めるのだろうか、ということ……。 「にゃー」 作業をしている僕の足元に、一匹の猫が不満げな様子でまとわりついてくる。 飼い猫のキャロルだ。 そういえば今日はまだご飯を用意してやっていなかったっけ。 「あーごめんごめん。もうちょっと待っててくれな、もうすぐ終わるから」 すまなさそうに答えると、とりあえず納得したのか、キャロルはまとわりつくのをやめてちょこんと座り込む。 「どうした? 新しい家族が気になるのか?」 首をかしげて神姫を見つめるキャロルに、僕は思わずそんな言葉をかけていた。 自分で言っておきながら、不思議な感覚にとらわれる。 この小さな人形が動き出し、僕と一緒に過ごしていく……ほんの数分後に現実になるであろうその光景を、僕は未だ想像すら出来ずにいた。 「これで最後……っと」 三つ目のCSCを埋め込んだその時、にわかに電話のベルが鳴り出した。 タイミングが悪いにもほどがある。 無視してしまおうかとも考えたが、仕事絡みだと後々面倒だ。 僕は渋々立ち上がり、キッチン横に備え付けられた受話器を取る。 「はい、狩野です」 『ああ、暁人? 最近全然連絡ないから心配してたけど、元気でやってる?』 電話口から聞こえてきたのは、間違いようもない母親の声だった。 僕が仕事を始めて一人暮らしをするようになってからというもの、こうして何かにつけて電話をかけてくる。 別に嫌ではないのだが、我が母親ながら少し過保護に過ぎるのではないだろうか。 一人息子を心配する気持ちはわからないでもないが、もう少し僕のことを信用してほしい、とは毎度思うことである。 「ああ、母さんか。うん、特に問題なくやってるよ。あーごめん、今ちょっと取り込み中なんだ、またかけるから」 『そんなこと言って、貴方自分から連絡してきたことほとんどないじゃないの』 やばい、地雷を踏んでしまったか……こうなるとうちの母親は話が長い。 説教というわけではなく、脱線を繰り返して話がとんでもない方向へ進んでいってしまうのだ。 それは声のトーンでわかる。 普段なら適当な相槌を返しながら聞き流すのだが、さすがに今はそうもいかない。 「あーほんとごめん、今はどうしても時間がないんだ。ちゃんと連絡するから、じゃっ!」 『あ、こら、あきひ……』 少々強引に電話を切り、受話器に向けて手を合わせる。 ごめん、ホントに今度ちゃんと連絡するからさ。 えーっと……そうだ、神姫は起動したらすぐにマスター登録というのをしなければならないんだっけ。 このマスター登録によって神姫は特定の人間をマスター……つまり自分の主人として認識し、ここにある種の契約が産まれる。 こう言うと伝承の中にある召喚の儀式のようだが、イメージとしてはあながち間違いでもないのかもしれない。 「……そんなこと考え込んでる場合じゃないか」 誰にでもなく呟き、急いで部屋に……と、その時、聞きなれない声のようなものが僕の耳に入ってきた。 ともすれば聞き逃してしまいそうなくらい小さなものだったが、何故かそれが耳について仕方ない。 「……ぅ」 何だろう、確かに声のように聞こえる。 テレビはつけていないし、割と防音がしっかりしている部屋なのでお隣さんということはないと思う。 外からの音というのも、同じ理由で可能性は低い。 聴覚を集中させて、音源を探る。 「……ぁぅー」 今度ははっきりと聞こえた。 間違いなく人の声だ。そしてその発信源は……。 「……誰か~、た~す~け~て~」 ……僕の、部屋? 「……しまったあ!」 キャロルが興味津々な様子で神姫を見つめていたのを思い出すと同時に、僕はあわてて駆け出し、部屋のドアを乱暴に開けた。 そして僕の視界に飛び込んできたのは……。 「にゃー」 「あうあうー、離してくださいってば~」 我が家の愛猫に捕食されそうになりながら情けない声をあげている、小さな女の子だった。 「うう、ぐすっ……ひっく」 さて、困った。 神姫を押さえ込んでいた(当人は多分じゃれあっていたつもりなのだと思うが)キャロルを急いでひっぺがし、とりあえず夕飯を与える。 今は好物のミシマ水産のツナ缶を一心不乱に食していらっしゃる。 こちらのことなど眼中にない様子。 そしてようやく神姫と向かいあったまではいいのだが、肝心の神姫が先ほどから泣いてばかりなのだ。 キャロルには子猫の頃から僕の指で甘噛みの練習をさせているので、痛みとか外傷はないと思うのだが……よほど怖かったのだろうか。 「あーその、なんだ……ごめん、謝るから、とりあえず泣き止んでくれないかな?」 そう言葉をかけるも効果はなし。 参った、僕はこういう状況はとても苦手なのだ。 女性経験が皆無といっていい僕にとって、女性に泣かれるということは、対処のしようがない天災のようなものである……経験があったとして、それが神姫に通用するかは疑問だけど。 とりあえず言葉で彼女をなだめることは早々に諦めるとする。 となれば、残るは実力行使だ。 彼女を怖がらせないように、そっと手を伸ばす。 俯いてえぐえぐやっている彼女が気付く様子はない。 ぴと。 僕の人差し指が彼女の髪に触れる。 そしてゆっくりと撫でるように、さすってみた。 人間同士の最も原始的なコミュニケーション、スキンシップ。 その基本中の基本である『頭を撫でる』という行為を実践したのだ。 僕が頭を撫でると同時に、彼女の動きがぴたりと止まる。 ぐすぐすと泣いていた声も止まったので、僕はひとまず安心して、そのまま頭を撫で続けた。 指先に、微かな温もりを感じる。 それが機械特有の熱であると頭では理解しながらも、その温かみは人が持つそれと同等のものに感じられて仕方がなかった。 しばらくされるがままになっていた彼女が、ゆっくりと顔を上げる。 まだ目元に涙が残っているようだが、その顔に怯えや恐怖はない……というか、なんだかぽーっとしているようだけど。 「ん、少しは落ち着いた?」 「ふぁー……」 僕の辞書には、肯定にも否定にもそんな返事はない。 それ以上どうすることも出来ず、僕はまた困ってしまった。 彼女の金髪はさらさらしてて気持ちいいし、しばらくこのままでもいいんだけど……。 いつの間にかぺたんと座り込み、すっかり脱力している彼女の姿に、僕ははたとあることに考えつく。 (もしかして、神姫って頭撫でられると動けなくなるとか……?) そんな馬鹿な。 人間とコミュニケーションをとれるのがウリだってのに、頭撫でたら動けないなんて本末転倒にもほどがある。 でも昔、しっぽを掴まれると力が抜けるアニメキャラとかもいたしなあ……って、それはまた違う気もするけど。 とにかく、もし本当にそうだとしたら困るので、僕は一度彼女から指を離した。 彼女は相変わらずぽーっとしていて、その様子に変化はない。 「……そうだよなあ、そんな矛盾あるわけな」 「ふあっ、わわーーーーーーーーっ!?」 突然彼女が大きな声をあげたので、僕はびっくりしてひっくり返ってしまった。 十五センチサイズから発せられた音量とは思えなかった。 「な、何、どうしたの!?」 「ごごごご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめあいたーっ!?」 いきなりすごい勢いでぺこぺこと頭を下げ、謝りだす。 そして勢いがつきすぎたのか、床にモロに頭を打ち付けていた……かなり痛そうだけど、大丈夫かな。 「うー、くらくらするよお」 涙を浮かべながら、両手でおでこを押さえている。 よっぽど痛かったんだなあ……じゃなくて、とりあえず落ち着かせないと。 「あー……君、とりあえず僕の目を見てくれるかな?」 「はは、はいいっ!」 僕がそう言うと、彼女は軍人も驚くくらいびしーっとまっすぐに立ち、僕の目を見つめた。 まだ冷静とは言えなさそうけど、話は出来そうだ。 「えっと、君は武装神姫。自分のことはわかるかな?」 まずは彼女の状態を確かめないといけない。 いきなり混乱していたみたいだし……僕のせいなんだけど。 「あ、はいっ。私は武装神姫、天使型MMSアーンヴァル。コアユニットコードAGL―ARNVAL。個体コードTT―45986、素体構成材質は……」 「ストップストップ、そこまででいいよ。ありがとう」 彼女の話を途中で遮る。 構成材質とか興味がない話ではないが、そんなのは後で調べればいいことだし、今の目的はそこじゃない。 「よろしいのですか? まだ途中ですが……」 「いいのいいの、いずれ詳しく教えてもらうから。それより先に、マスター登録ってやつをしないといけないんじゃないのかい?」 『マスター登録』という言葉に、彼女はようやく落ち着きを取り戻したらしい。 「そ、そうですね」なんて言いながら、ふーっと一つ深呼吸……なんか、全然ロボットっぽくないな。 若山さんが怒ってた気持ちが、改めてわかった気がする。 「では、マスター登録を開始します。音声解析、準備……完了。貴方が私のマスターですか?」 先程までとは違う、機械的な音声。 合成音というわけではないが、やはりこういうところは機械なのだと再認識する。 そして僕が返事をしようとした、まさにその時……。 「にゃーん」 いつの間にか食事を終えていたキャロルが僕の変わりに返事をした。 「お、おいっ」 もちろん僕は慌てる。 猫が神姫のマスターだなんてことになったら一大事だ。 む、いやしかしそれはそれで興味深……いやいやいや。 そんなことを考えている間にも、彼女は言葉を続ける。 「解析開始……完了。登録不能な音声信号と判定。登録に失敗しました。マスター登録を再試行します」 どうやら猫の声ではマスター登録は出来ないらしい。 考えてみれば当たり前なのだが。 それに、マスター登録には自分の名前を告げることが必須だったはず。 さすがに「にゃーん」ではそこでひっかかるだろう。 僕は胸を撫で下ろし、再度マスター登録に臨む。 「貴方が私のマスターですか?」 「そうだよ、僕の名前は……」 「にゃー」 って、おい! 「解析開始……完了。登録不能な音声信号と判定。登録に失敗しました。マスター登録を再試行します」 この手の登録は三回失敗すると一時的にシャットダウンされるって相場が決まってる。 今度こそ邪魔されるわけにはいかない。 僕はキャロルの両脇をむんずと抱え上げ、クローゼットの中に押し込んで扉を閉めた。 「にゃー!」 なんだか怒っているようだが仕方ない。 ごめんよキャロル、少しだけ我慢してておくれ。 「さて……」 これで安心だ。 僕も一度深呼吸をして、気持ちを落ち着ける。 「貴方が、私のマスターですか?」 三度目の試行。 ゆっくりと、確認するように聞こえたのは気のせいだろうか? 「そうだよ、僕が君のマスターだ。僕の名前は狩野暁人」 「解析開始……完了。音声信号を保存。マスター名、狩野暁人。マスター登録に成功しました」 登録完了、これで一安心だ。 彼女の声質が、それまでの機械的なものから、本来彼女が持っているものへと変わる。 「えと、これからよろしくお願いしますね、マスター」 鈴を転がすような、というのはこんな声のことを言うのだろう。 ちょっと舌足らずな喋り方がまた可愛らしい。 「うーん、マスターっていうのは堅苦しいな。僕のことは暁人でいいよ」 彼女はきょとんとしている。 名前で呼ぶこともマスターと呼ぶことも、彼女にとってあまり違いはないのだろうか。 「えと……じゃあ、暁人さん」 「うんうん、よく出来ました」 ご褒美……というわけでもないが、人差し指で彼女の頭をぽふぽふと撫でてやる。 そうするとまた、彼女は脱力してぽーっとなってしまった。 「ふぁー……」 「あ、ごめんごめんっ」 僕は慌てて指を引っ込める。 こんなこと説明書には書いてなかったんだけど……腑に落ちないが仕方ないか。 「神姫って頭撫でられると動けなくなっちゃうんだね、僕も気をつけないと」 「……え?」 彼女が「何言ってるんですか?」という目で僕を見る。 いや、そんな反応されても……。 「頭撫でられると動けなくなるんじゃないの? 事実、君はさっきからそうなってるし」 そう言いながら三度人差し指で頭を撫でると、やっぱり同じ反応。 でも、なんだか赤くなってもじもじしているように見える。 「えと、えーと、あのですね……」 何か言いたそうなのでとりあえず指を離し、話がしやすいように彼女と目線の高さを合わせた。 彼女はほうっと息を吐くと、 「先に結論から言いますと、頭を撫でられても神姫が動作停止することはないです」 と、はっきりした声で言う。 そりゃそうだよなあ、やっぱり。 頭も撫でられないで何がコミュニケーションか、などと思う。 しかし、そうすると先程からの彼女の脱力っぷりが気になるわけで。 「でも、君は頭を撫でられると様子がおかしくなるよね? もしかして、どこかにトラブルでもあるのかな」 いかに心を持つとはいえ……いや、逆に考えれば、それだけ複雑なプログラムや精巧なボディで出来ているのだ。 精密機械の常で、どこかにトラブルが潜んでいたとしてもおかしなことではない。 そんな僕の考えをよそに、彼女から返ってきた答えは、僕の予想の斜め上を行くものだった。 「いや、そのですね、何と言いますか……その、頭を撫でられると、あったかくて気持ちよくて、ぽーっとなってしまうようで……」 顔を真っ赤にして、指をぐにぐにしながら答える彼女。 えーっと、それはつまりプログラムのバグやハードウェアの故障とかじゃなくて、もっと原始的な感情に基づくもの……。 「あー……それはつまり、頭を撫でられるのが好きってこと?」 恥ずかしそうに僕を見上げながら、こくこくと頷く。 なるほど、頭を撫でると動けなくなるのは武装神姫全般の仕様とかじゃなくて、彼女特有の個性ってことか。 しかしまあ、そんな個性もありなんだろうか? いずれにせよ、彼女に悪影響を与えるものではないとわかったので安心だ。 遠慮なく(というのも妙な言い方だが)頭を撫でさせてもらうことにする。 「はふ~……」 そして脱力。 先程よりもいささか安心しているのか、自分から僕の指に頭をすりつけたりしている。 うーん、なんか小動物みたいで可愛いな……と、そこで僕は大事なことを思い出し、彼女を撫でる指を離した。 名残惜しそうに彼女は首を伸ばし、頭を僕に向けて差し出してくる。 くう、可愛いぞ……このまま戯れていたいけど、そうもいかない。 「君に名前をつけてあげないといけないね」 いつまでも『君』とか『彼女』のままじゃ可哀想だ。 うんうん、と僕は一人で頷き、考えを巡らせる。 さて、どんな名前がいいだろうか。 「天使型、天使……エンジェル、アンジュ、セラフ……ダメだな、安直すぎる」 せっかくだから彼女に似合う、最高の名前をつけてあげたい。 彼女は色白でかつ金色に輝く髪の持ち主だ。 和風な名前は最初から選択肢の外にある。 洋風の名前でも、安直なのはダメだ。 ちゃんと意味を持った、彼女だけの名前にしてあげないと……。 「あのー、暁人さん?」 がりがり。 「彼女のイメージから連想する言葉……天使からは少し離れてみよう。白、金、乙女……」 『暁人はそういうトコ無駄にこだわる癖があるよな』とは大地の弁だ。 大地に限らず、学生時代から周囲の友人の評価は概ね変わっていない。 別にいいのだ、自覚もあるし。 興味のないことには悲しいくらい無関心、その代わりこだわるところは徹底的にこだわる、それが狩野暁人という人間である。 「あのあの、暁人さんってば」 がりがりがり。 「なかなかいいのが思い浮かばないな……そもそも彼女のイメージっていうのがまだ漠然としすぎてるんだ」 まだ出会ってほんの三十分である。 僕が彼女について知っているのは、外見的特徴と「頭を撫でられるのが好きだ」ということくらいのものだ。 しかしまあ、当たり前のことだが名前というのはそんな状況でつけるものである。 キャロルの時はどうしたんだっけ。 「ええと、あの時は確か……」 「あーきーひーとーさーん!」 「うわっ」 「きゃあっ」 耳元で大声がしたため、僕は再び後ろにひっくり返ってしまう。 そして同時に悲鳴。 いつの間にか僕の肩に登っていた彼女が、僕がひっくり返ったために空中に投げ出された……なんてのは後でわかることで、空中から落下してくる小さな影の下に、夢中で仰向けのままの体を滑り込ませた。 がつんっ! 「あだっ!」 目の前に星が飛び、直後視界が暗転しかける。 なりふり構わずに滑り込んだため、勢いで頭を何かにぶつけたらしい。 かなり痛い、もしかしたら少し馬鹿になってしまっただろうか? 「いやそれよりもだ」 くだらない考えに一人ツッコミをいれ、彼女の安否を確認する。 その姿は……いた。 僕の胸の上にダイブするような形で乗っている。 目立った外傷はない。 「おーい、大丈夫?」 声をかけると、うにゅーなんて唸りながら起き上がり、ちょこんと僕の胸の上に座り込む。 「はふ、びっくりしましたよ~……って、暁人さん頭! 大丈夫ですか!?」 どうやら僕が頭をぶつけたことに気がついたらしい。 泣きそうな顔で僕の目の前に寄ってくる……近いよ、すごく。 そして「ごめんなさい」を連呼。 「あー、大丈夫だから、そんなに謝らなくていいって」 「でもでもっ、私のせいで暁人さんが、暁人さんが~はうっ」 気にしないでいいと言っているのに彼女は半泣きのままだ。 拉致があかないので頭を撫でてやると、予想通り大人しくなる。 なんというか、困った時はとりあえず撫でておくのがよさそうだ。 しばらく撫でていると、彼女はすっかりほわほわになってしまった。 頃合と見て声をかける。 「それより、いきなり大きな声出してどうしたの?」 すると、彼女ははっと我に返ってぽんと手を打つ。 そして恐る恐る、僕の頭の先……クローゼットを指差した。 「えとですね、なんかさっきからがりがりがりって音がしてるんですけど……」 がりがりがりがりがり。 そして、怒りの雄叫び。 「うにゃーっ!」 「あちゃあ……忘れてた」 「悪かったって、機嫌直してくれよ~」 僕が手を合わせて許しを請うているのは、我が家の猫姫キャロル。 先程の仕打ちで大層機嫌を損ねたらしく、目を合わせようともしない。 別にキャロルの機嫌が悪いからといって僕に実害があるわけでもないのだが、そこはやはり同じ屋根の下で暮らすもの同士。 良好な関係を維持しておくべきだと思うのである……猫好きの僕としては、単に無視されるのが寂しいからというのもあるが。 「明日はミシマ水産の最高級のツナ缶買ってきてやるから、な?」 ミシマ水産のツナ缶といえば、食用ツナ缶の中でも割と高級な部類に属するものである。 それまで普通に猫用のツナ缶を食べていたキャロルだったが、ある日僕が食べていたミシマ水産のツナ缶を分けてあげたところ、それ以来他のツナ缶には目もくれないようになってしまったのだ。 そしてその最高級品ともなると、普通に人間用の惣菜弁当、それもそれなりのものが買えるくらいの値段になる……正直、財布にはあまり優しくない。 そんな僕の切実な願いを聞いているのかいないのか、キャロルは悠々と僕の脇をすり抜けていく。 その瞳が見ているものは……少し離れたところで成り行きを見守っていた、神姫の彼女だ。 「はわっ」 キャロルが自分を見ているのに気付いたか、ぴしっと石のように固まる彼女。 どうやら最初に受けた衝撃は相当のものだったらしい……って、当たり前か。 起動直後に猫に組み敷かれた神姫なんて、そうそういないだろう。 「心配しなくても大丈夫だよ、傷つけたり、痛くしたりすることはないからさ」 そこら辺はきちんと躾けてある。 ついつい手を出してしまうのは猫の本能だから仕方ないが、力加減は出来るはずだ。 びくびくしている彼女の前にちょこんと座り、じっと見つめるキャロル。 大丈夫だと思うんだけど、あまり怖がらせるのも悪いよな……そう思って助けに入ろうとしたその時、ぺろり、とキャロルが彼女の頬をなめた。 「ひゃっ!?」 予想外の刺激に、びくーっと傍目にもわかるほど硬直する彼女。 それにも構わずキャロルのスキンシップは続く。 鼻や頭をすり寄せてみたり、くんくんと匂いをかいでみたり……やがて彼女も慣れてきたのか、おずおずとキャロルの鼻頭に手をのばし、そっとさする。 キャロルが気持ちよさげに目を細めるのを見て、彼女は幸せそうに笑った。 「あはっ……あなたも私と同じで、撫でられるのが好きなんですね」 満足そうに一鳴きすると、キャロルはお返しとばかりに彼女の頭を鼻で撫でるようにさすった。 「きゃっ、もう、くすぐったいですよ~」 そんな風に言いながらも、彼女に嫌がる様子はない。 むしろ、同じように気持ちよさげにしているくらいだ。 やれやれ、これなら心配はいらないかな。 彼女たちのじゃれ合いはしばらく続いた。 そんな中で、僕はキャロルの行動に母性のようなものを感じはじめていた。 この辺りは猫が少ないのか、まだそういう事態になってはいないが、キャロルももう母猫になってもおかしくない年齢だ。 もしかしたら、生まれたばかりの彼女の姿に母性本能を刺激されたのかもしれない……ん、待てよ? 生まれたて……誕生……。 「それだっ」 急に声をあげた僕に驚いたのか、一人と一匹が揃って僕を見る。 僕は彼女に近づき、目線を合わせていった。 「君の名前が決まったよ……ノエルだ」 ラテン語で『誕生』を意味する言葉を語源とするこの名前……反射的に思いついたものだが、口にすればするほど、この世界に生まれた彼女と、この先の幸せを祝福するにふさわしい名前だと感じられる。 「ノエル……いい響きですね、嬉しいです」 幸せそうに笑う彼女……ノエル。 よかった、気に入ってくれたみたいだ。 そして僕は、彼女の目の前にそっと指を差し出した。 「それじゃ、これからよろしくね、ノエル」 「はいっ、暁人さん!」 彼女が両手で僕の指を掴む。 人間と神姫の、不恰好だけど気持ちのこもった握手だ。 帰り道で感じた不安は既になく、今の僕は、この新しい関係が少しでも長く続くことを願うばかりだ。 すっかり機嫌をなおしたキャロルの鳴き声が、彼女の誕生と二人の出会いを祝福してくれているように聞こえた。 1.武装神姫、里親募集中 TOP 3.僕と彼女とコーヒーと
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夢現で思うのは幼馴染の少年の事。 何故だろうか、食い違ってしまったのは。 (こんな筈じゃ無かったのにな) 多分、“私”はあの悪魔と契約をしたのだ。 覚めて行くまどろみの中で飛鳥はそう思う。 バッテリーの充填率は3割。 充分だ。 飛鳥の巡航速度は人が走るより速い。 今から出てもまだ間に合う。 まだ、北斗を守れる。 「きっとその為に、私が此処に居るんだ」 本来ならばバッテリーのチャージが終わるまで、決して起きるはずの無い武装神姫が目を覚ます。 それは別段超常的な事ではなく、万に一で起こりうるただのバグ。 ただ、それがココで起きた事はほんの微かな奇跡。 飛鳥は未修復の千切れた右腕を押さえながら、夜の空に翼を広げる。 「行かなくちゃ!!」 私が待ってる。 アスカ・シンカロン12 ~賑禍~ 「……はぁはぁ、間に合ったぜ」 家から走って校門を乗り越え、窓を割って校舎の中へ。 そして屋上まで階段を駆け上り、ジャスト15分。 「……やっぱり来てくれた。北斗ちゃんは私の事が大切なんだよね?」 北斗ちゃん。 その呼び方は……。 「……お前、やっぱり明日香なのか……?」 「どっちだったら良かったの?」 「え?」 「北斗は、夜宵ちゃんと明日香。どっちが良かったの……?」 「それは……」 「私は。どっちになればいいの……?」 「お前、何言ってるんだ!! そんなの、元もままで良いに決まってるだろ!!」 「……」 「だ、そうですヨ」 明日香か夜宵かも定かではない少女の背後から、白い悪魔型が姿を見せる。 「やはり、貴女達は同じでなければ受け入れられなイ」 「……テメェ」 「さあ、考えましょウ。二人が同じになる方法ヲ。……そうでないト。……彼に受け入れてもらえなイ」 「テメェが元凶か!!」 「まさカ。私はただ提案しただけでス。同じだからいけないのかも知れないッテ」 違えば。 何かが変わるのだと。 「そしテ、それが誤りだったのではないカ、と。提案しているだけですヨ?」 それを実行に移したのはカノジョ。 実行に移させたのは。 「他ならヌ、貴方でス。神凪北斗」 「テメェをぶっ壊す!!」 「どうぞご自由ニ。でも良いんですカ? 私にかまけているト―――」 「…………」 屋上のフェンスを、少女は昇り始める。 「……っ」 どちらの名前を呼べば良いのか。 その間に白い悪魔型が迫る。 「如何しましタ? ワタシを壊すならお早めニ。……でないト、でないト。……カノジョ死んでしまいますヨ?」 「……クッ!!」 フェンスはそれほど高くない。 あっという間に彼女の手がその縁に掛かる。 「待て!!」 駆け寄ろうとする北斗の眼前に踊り出る白い悪魔。 その爪が正確に北斗の眼を狙う。 「……チッ!!」 腕で叩くが、さほどのダメージでもないらしく、すぐに次が来る。 「邪魔するな!!」 彼女の片足がフェンスを越えた。 白影は正確に眼を狙ってくる。 払っていては、間に合わない。 「……!!」 覚悟を決めた。 目の一つ二つ奪われても、彼女の所まで辿り着く。 それが先だ。 「無駄でス。彼女は死ニ、貴方も死ヌ。ソレがワタシの食事なのですかラ。邪魔をしないで下さイ!!」 視界に飛び込んでくる爪が迫る。 だが、足は止めない。 払う暇も無い。 彼女は既に重心をフェンスの向こうに。 「 ーーーッ!!」 自分で。 どちらの名前を呼んだのか。 神凪北斗には自覚が無かった。 爪が。 フェンスを。 迫る。 乗り越えて。 突き刺さる。 落ちる。 ―――直前。 「北斗!!」 「―――っく!!」 「!?」 “吹き飛んだ”悪魔型の横を抜け、フェンスに駆け上がった北斗の手は確かに落ちる少女の腕を掴んでいた。 -
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第13話 「姫君」 『……子供(じゃねぇか)(ですね)』 確かに芸能界ですら滅多に見られない程の美形だが……あの背丈はどう見たって小学生以上だとは思えない。 あれを形容するなら『美女』ではなく『美少女』だ。 仕方ないのですっかり興奮しきった様子の白黒ミリオタチンパンジーに問い質すことにする。 「……まさかとは思うが、アレがお前の言ってた『武装神姫の流れ星』か?」 「ン何をいっとるかキサマぁ! ああいう人物を称える格言があることを知らんのか!?」 「格言?」 「ふふん、知らずば言って聞かせよう……古人曰く! 『ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ』 とな!」 「要するにお前はアレか、わざわざそんなクソッタレな寝言を聞かせるために俺を引っ張り出したと。 そう言いたいのか?」 ……こんな茶番と分かっていれば、昨夜あんなに悩みはしなかったものを。 「撃ちましょうか?」 「許す」 どぎゅーんちゅどーんうぎゃーと先日と同じ展開の中、不意に楽しげな声が割り込んだ。 「ふふっ。 そなたのまわりはあいかわらずドタバタとやかましいようじゃの、おおさわ」 舌っ足らずで高い声の持ち主は、言うまでもなく件の少女。 身に纏った純白のドレスは、服飾品の素材に疎い俺にも分かる高級品だ。 まるでそれ自体が光の加減で発光しているかのようで、どう見てもこんな場所に似つかわしいとは思えない。 しかし少女はそんな自分自身の異質さを気にした様子もなく、、自信に満ちた表情でこちらをじっと見据えていた。 ……が、俺が何も言わずにいるのを訝しんだか、形の良い眉が動いた。 「む? 今日わたしのあいてをしてくれるというのは、そなたたちではないのか?」 「えぇ、そうです。 ……多分」 なおも無言な俺の代わりにルーシーが答えると、八の字を描いていた眉はすぐに元に戻った。 「なんじゃ、人ちがいをしたかと思ったではないか。 おどろかすでない」 安堵したような愛らしい笑顔を見ながら、俺は『なんでこの子供はこんな喋り方なんだろうか』と考えていた。 「ムっはーぁッ! エリザベス姫、お久しうぅぅ!」 「せんしゅうも会っておいて『ひさしい』もなかろ」 グレネードツッコミのダメージもなんのその、頭から煙を噴きながら飛び起きて召使のように跪く大佐和と、その頭を手に持った扇子でぺしっとはたく少女。 「不詳この大佐和軍治、姫をエスコートするべく待機しておりましたが、出迎えに参ずる事叶わず大変失礼を!」 「よい、もとよりそなたにエスコートなどできるとは思っておらぬ。 気にやむな……というかよけいな気をまわすな」 ……なんなんだ、この本人たちだけが楽しそうなお姫様ごっこは。 俺とルーシーが顔を見合わせていると、ようやく俺たちの存在を思い出したらしい大佐和が立ち上がって紹介を始めた。 「さアぁ姫っ! こちらが先日お約束した対戦相手でゴざいますッ!」 「うむ、ごくろうじゃったの。 あらためて、わたしはエリザベス・寺舞(てらまい)。 今年で9さいになる。 今日はよろしくたのむ」 にこやかに笑う少女が手を差し出すのに、俺とルーシーも応じる。 「あー…あぁ、うん。 俺は藤丘遼平」 「遼平さんの神姫、ルーシーと申します」 俺、ルーシーの順で握手。 「おおさわの知り合いじゃというからいったいどんな『へんじん』かと思っておったが……」 うわぁすっげぇ不本意。 「ちょっと待ってくれお嬢ちゃん。 ひとつ言わせてもらうがな」 「わかっておる、なかなかの『しんし』とみた。 …すくなくとも」 すいっ、っと扇子で口元を隠し、半歩こちらへ歩み寄る。 「……アレよりはじょうしきがある」 隠した口元には、くすくすといたずらっぽい笑いが刻まれている。 間近で見ると……なるほど、これならギャラリーが増えるのも分かるっつーか。 「遼平さん、何考えてるんですか?」 「いーえぇ何にも」 なんだか不満げなルーシーの頭を撫でてやってると、ふと少女……エリザベスの表情が真顔になった。 「そなた、そっちの足は『ぎそく』じゃの。 長いのか?」 俺の目をまっすぐ見据え、はっきりと言ってきやがった。 「去年な」 「そうか」 短いやりとりで、俺とエリザベスは互いに黙した。 この態度、潔いと取るべきか遠慮がないと取るべきか。 だが子供ゆえの無邪気さからくる、興味本位の不躾な質問でなかったのは分かる。 9歳だと言ったが……なかなかどうして。 前話「相手」へ 『不良品』トップページへ 次話「制限」へ
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連続神姫ラジオ 浸食機械 ~機械仕掛けのプリンセス~ はじかき はい、浸食機械全24話、終了いたしました。最後までおつきあいくださった皆様、お時間を割いてちょっとでも読んでくださった方々、誠にありがとうございます。当方が勢いとのりで始めた長文、かなり癖のある文体だったと思いますがいかがだったでしょうか?ご意見ご感想お待ちしております。 当初は新聞の小説コーナーを目指して、短く・読みやすく・短期間で続編をだすことを目標にしていたのですが、まあものの見事に間が開いてしまいまして、結局一年越しの完結となりました。それでも三千人近くの方が足を運んでくださっていることを考えると武装神姫というコンテンツの強さを実感します。こんなに足はこんでもらったのはじめてだよ。 作者としてはいろんなキャラクターの神姫への愛を描いてその中で主人公がどんな未来を選ぶのかというのがテーマにあったりします。その辺はうまく伝わってくれたでしょうか。俺設定、独自解釈などありましたが大丈夫だったでしょうか。終わった今は、それだけを考えています。 さて、ここからはおまけコーナーとなります。はしょったところとか元ネタとかここを見てとかそう言ったところをつらつらと書き込んでいくつもりです。もし興味がおありでしたらここからのカーテンコールにもおつきあいください。それでは、皆様の神姫ライフが実りあるものであることを心から願っております。 完 戻る 疑似ライドシステムとか 要は他のロボットとかにもライドできて神姫と一緒に戦えたら楽しいなと思って作った設定です。機能としては乙女回路と女帝回路の違いと思っていただくのが一番わかりやすいかと。このシステムがロボット産業含め各地に普及していることで今回の事件が起こります。説明書を読まずに直感でイメージ通りに動かせるシステムとか便利だと思いませんか? 最後の樹のイメージ 劇中でも言ってますがまんまバベルの塔です、不思議の海のナディアの最初の方に出てきた方の。 プルミエと勝 今回の主人公。やっぱり主人公は素直で最初は弱くてニュートラルじゃなきゃねということで抜擢。 ルートと浩太 携帯コミックからの参戦。ちょい役でもいいのでいろんな所からキャラをだしたかったのです。ルートさんは本当にかわいいのですがもうダウンロードもできませんから広めることもできないのが・・・何のかんの言ってマスター思いのいい子なんですよ。 ハーデスとガイア ヒロイン候補。隠しテーマは神姫のための強いマスター。バトマスから参戦。ガイアは原作をやる限り戦うのが好きなだけのキャラのイメージだったのでこんな感じに。あとは普段ハーデスさんを溺愛してる感じがしたので結構ラブラブに。 ツガルとステベロス バトマスから参戦、完全にちょい役。 ヘンゼルとグレーテル 隠しテーマは愛をいいわけにしている人。とはいってもヘンゼルのことは大切に思っているはずなのですが。昔彼女のひどいことをしてしまったのでその後悔から抜け出せずに立ち止まってしまってる人。バトマスから参戦、今回のメインヒロイン。ゲームを見たときから一目惚れで、是非彼女のその後とか成長がかけたらなと思っていたのでヒロインに抜擢。彼女を幸せにしてあげたいと思っているマスターは多いのではないでしょうか。でもエンディングは某大往生のショーティアという。 rootと西園寺 悪役をだすならこの人しかいないと言うことで抜擢。性格は二転三転して結局野心を捨てていないキャラに。rootはGP03の中の人みたいなもの扱いなので普通の神姫として登場。擬人化のイメージ元はどこかにあげられていた擬人化絵から拝借。ちなみの元々この話はゲームとして作りたいなと思っていたので当初はrootエンドとかも考えていました。 清四郎と楓 オリジナルキャラにしてヒロイン候補。OVAを見ていて小学生が神姫に興味を持つなら近所のお兄さんに影響されてとかの方が面白いかなと思い清四郎は生まれました。性格はラジオロンドの頃のあすみすそのままです。あーしとか特に。とにもかくにも男前のキャラ。そしてどんな結末でも結局は結ばれず年上のおねいさんへの初恋という形で終わるキャラ。 楓はデビルサバイバーというゲームの柚子という子が骨組みになっています。ヒロイン候補で彼女の手を取って脱出という選択肢もありますが、その場合神姫を捨てて普通の人間エンドになります。コレはどうなのでしょうか。人間であることとシナリオのせいでものすごく割に合わない子になってしまいました。ちなみに隠しテーマは神姫に負ける人間。没にしましたが「愛し愛されるためだけに生まれたあんた達なんかに私たちの苦しみがわかるもんか」という台詞を言わせたかった。 コウガ 今回の元凶。わかりやすいラスボス。人間に復讐したい、でもしたくない、だから誰か止めて。今回の事件で大いに穴があったのはこの辺の心境が原因です。 戻る
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MMS戦記 登場MMS MMS戦記に登場する主な神姫を紹介します。 戦闘爆撃機型MMS「シェライ・ドラッケン」 :カタリナ社・第1開発局製 :主兵装備 アサルトライフル×1丁 2mm機関砲×2門 マイクロミサイルポッド×2個 ビーム・ブラスターキャノン×4門 中型ミサイル×4基 迎撃ミサイルポッド×2個 チャフフレア×4基 小型同軸機銃×1門 脚部隠しライフル砲×2門 サバイバルナイフ×1本他 空中戦闘だけではなく対地攻撃能力にも優れた重装甲重武装の航空MMSである。 生残率を高める堅牢な装甲板、自動消火装置などの装備に加え、見た目に反し良好な運動性能があり、格闘戦を得意とする軽戦闘機を撃破するには最適の機体で、折畳み式の脚部を備え可変能力を有していたこともあって、初期のバトルロンドでは主力戦闘爆撃機型MMSとして活躍し、無難で堅実な設計が期せずして合理的な性能を発揮する。遠中近距離に全ての距離に対応可能であり、ミッションに応じて武装を換装するだけで高い汎用性能を持っている。これは武装全体がブロック構造を取り入れてリアパーツのコアに接続するだけで多種多様な武装を搭載できるように設計されているためである。 弱点はこのクラスの戦闘機型MMSとしては低速だった事であるが、それでも重武装の悪魔型や戦車型よりは優速であり、必要にして十分であった。限られた出力のエンジンで最大限の性能を発揮するため極力まで軽量化されたアーンヴァルに対し、大出力のエンジンを得て余裕のある設計がなされたドラッケンは全く正反対の性格の戦闘機であり、フロントライン社とカタリナ社の戦闘機型MMS設計に対する思想の差を象徴しているとも言える。 旧式のMMSで2030年代の初期の登場から10年以上経過しているが、余裕のある機体設計と高い防御力と汎用性で2040年代でも現役でアップデートや改良が加えられて相当な数が運用されている。 「ドラッケン」名前の由来はドラゴンの訛った言い方が元である。 天使型MMS「アーンヴァルMKⅡ/テンペスタ」 :フロント・ライン社製 :主兵装備 レーザーライフル×1 アルヴォ機関銃×2挺 M8ライトセイバー×2 アルヴォPDW11ブレイド×1 LS9レーザーソード×1 ココレット×4発 FLO-16アーンヴァルmk.2はフロントライン社のベストセラー機種アーンヴァル系列の最新モデルである。2040年代を代表する航空MMS。 初期モデルのアーンヴァルは、改修、追加パーツによるアップデートが限界を迎えていたため、素体を新規格で新造し武装の機能を統合パッケージ化したもの。これまで戦闘スタイルによって選択していた単能武装を個々のパーツに複数の機能を持たせることにより、一体の神姫が無理なく扱えるサイズにまで小型化している。本機―FLO-16/T アーンヴァルmk.2テンペスタは武装搭載量を重視した攻撃タイプのバリエーション。 追加された大型ウィングと脚部バランサーにより中低速域での飛行安定性の向上を実現。また大量の武装を効率的に管理するためヘッドセンサーは一回り大型のものに換装された。 「テンペスタ」名前の由来はイタリア語で嵐、暴風雨という意味。 コルベット艦型MMS 「バッカニア」 :カタリナ社第5開発局製 :主兵装備 MKS40 2mm速射砲 大型多目的ミサイルランチャー スタンダートミサイル 単装機関銃 巡航ミサイルなど カタリナ社が開発したコルベット艦をモチーフとした武装神姫。 バトルロンドでは従来の戦艦型MMSは強力ではあったが大型で鈍重、目立ちやすかった。そのため2040年代以降ではより小型のポケット戦艦型MMSという豆戦艦まで現れたが、それでも並みの神姫の数倍の巨体であった。そこで登場した本級で装甲や火力は戦艦型MMSに比べ劣るが、機動性や速力、隠密性を高めた汎用小型艦MMSが登場した。ステルス性を配慮した特徴的な設計が行われており、また、全長200mm級の小型の艦型ではあるが、レーダー波を反射しにくいよう、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が採用されているなどの特徴がある。高性能レーダー・ソナー、センサーなどの電子機器と、長射程・高発射速度の2mm単装速射砲の組み合わせは優れた戦闘能力を発揮でき、戦艦型MMSよりも小型・高速・軽武装で、戦闘のほか哨戒、強行偵察、護衛などに使用され、対地・対潜・対空作戦能力を有し、戦列を組むような大きなバトルロンドでは、戦艦型MMSの補助を主に行った。小型で軽量な点を生かしてさまざまな運用法で活躍し、この種の小型艦型MMSの有用性を示した。コストパフォーマンスに非常に優れているので相当な数が量産されて広く使われている。 問題点として、バランスは良く安定したスペックを持っており、使いやすさを突き詰めたモデルではあったが、戦いにおける合理性を求めすぎて、派手さや美しさとは無縁の非常に地味な実用神姫になってしまった。 名前の由来の「バッカニア」とは大航海時代に国の許可を得て敵国の略奪を行った私掠海賊のことを指す。 小型だがコストパフォーマンスに優れていた。 砲塔が速射砲型とミサイル型の2種が存在する。 輸送艦型MMS 「リバティ」 :カタリナ社第5開発局製 :主兵装備 対空連装機関砲×2門 カタリナ社が建造した輸送艦をモチーフとした支援用MMS。 元々は普通の商船貨客フェリーを改修した艦船タイプの大型神姫。2段式の甲板を持ち、下部に乾ドックを持ち、MMSや車両、または潜水艇を搭載し輸送することが可能。また支援物資や燃料、武装なども搭載可能。前後にランプが設置され搭載力は非常に高い。 完全に支援に徹した運用を目的をした神姫で地味でぱっとしないが、集団バトルロンドでは1隻いると非常に便利な神姫であった。高い搭載能力を生かし様々な運用で可能で、使い方しだいではなんでも出来た。 甲板に航空MMSを搭載し、軽空母として使われたり、大口径砲を搭載させて仮装巡洋艦のような使い方をしたり、砲台型、戦車型MMSを乗せて浮砲台になったり、大量の機雷や爆雷を乗せて機雷施設艦の役割を行なったり、ときには潜水母艦になったり汎用性は非常に高かった。 とりあえず、一隻いれば何かと便利に使えためバトルロンドでは重宝されたが、攻撃力は貧弱、機動力は無きに等しく鈍重で、貨物船など既存の商船を改造したため、装甲等の防御力は申し訳程度しかなく、爆撃や砲撃で簡単に沈められた。
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